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増資後の持株比率を試算する前に揃える株主情報

この記事の目次

現在の株数を確かめてから、増資案を別の列で計算する

増資後の持株比率を試算するには、基準日時点の株主別株数を確定し、新たに発行する株式と、将来発行される可能性のある株式を分けます。 前回の調達時の表へ今回の払込金額だけを追加すると、途中の譲渡や株式分割、新株予約権の行使を落とすおそれがあります。

ここでは普通株式の新規発行を中心に、現在と増資案を比較する表を作ります。法定手続きや妥当な発行価格、誰が経営を支配するかを、比率だけで判断する記事ではありません。

株主名簿と、株数を動かした記録を照合する

出発点は、会社が管理する株主名簿です。会社法第121条は、株主、株式の数・種類、取得日等の記録を定めています(e-Gov法令検索の会社法)。試算に使う基準日を決め、前回の表以降に何が変わったかを確認します。

表:株主名簿と、株数を動かした記録を照合する
確認するもの試算へ使う情報
株主名簿・株主別の記録基準日、名義、種類別株数。表記違いと別の株主を区別
増資・譲渡・分割等の記録実施済みの内容が現在の株数へ反映されているか
定款・株式の内容種類と権利の違い、自己株式の有無
新株予約権の記録未行使の数、対象株式数、行使・失効等の反映
今回の発行案割当先、発行する株数・種類、払込金額、変更中の条件

株主別の株数合計と、種類別・全体の集計を照合します。資料間で差があれば、差を誰かの保有数へ足して調整せず、未反映の取引や基準日の違いを探します。確認が終わるまでは、仮の集計と分かる名前を付けます。

「発行可能株式総数」と、すでに発行している株数も混同しません。今回の比率計算に使うのは、明示した条件における株主の保有株数と、その合計です。発行が可能か、必要な決議は何かという判断は別に確認します。

普通株式の例で、増資前後の比率を検算する

以下は架空の例です。同じ権利内容の普通株式だけを発行し、自己株式、同時の譲渡・分割はないとします。現在1,000株に対し、新規投資家へ250株を新たに発行する案です。

表:普通株式の例で、増資前後の比率を検算する

表は左右にスクロールできます。

株主増資前:株数・比率増資後の案:株数・比率
創業者800株・80%800株・64%
既存投資家200株・20%200株・16%
新規投資家0株・0%250株・20%
合計1,000株・100%1,250株・100%

増資後の創業者の比率は800÷1,250=64%です。持っている株数は減っていませんが、分母が増えたため割合が低下しています。80%から64%への変化は16ポイントの低下であり、「16%減」と曖昧に書かないようにします。

払込総額と1株当たりの払込金額から発行株数を逆算する場合は、割り切れない結果を勝手に丸めません。会社と投資家が検討する条件を揃え、試算の株数・比率・払込総額が同じ案を表しているかを確認します。払込条件の公正さや企業価値の評価は、この割算だけでは決まりません。

潜在株式を含める計算は、現状とは別のシナリオにする

新株予約権がある場合、その個数をそのまま株数へ足してはいけません。会社法第236条では、目的となる株式数または算定方法等を内容として定めています。発行条件から、行使した場合に何株となるかを確認します。

前の例に続く架空の例として、増資後に新株予約権がすべて行使され、普通株式100株が新たに発行される仮定を置きます。その場合の合計は1,350株、創業者の比率は800÷1,350で約59.26%です。これは行使を仮定した割合で、増資直後の64%と取り替える数字ではありません。

資料は「現在」「今回の新株発行後」「予約権の行使も仮定」の三つを区別します。行使条件、失効分、種類株式の転換条件などで計算が変わる場合は、採用した前提を書きます。まだ発行していない将来の付与予定枠も、存在する予約権と分けてください。

潜在株式を含めた試算を依頼されたら、相手がどの範囲を分母に含めたいかを確認します。表の名前が同じでも、含めた条件が異なる比率を比較すると、調達条件の認識がずれます。

持株比率と議決権・分配の権利を区別する

種類株式は、配当や議決権等の内容が異なる場合があります。また、会社が保有する自己株式には議決権がありません。株数だけの割合を、議決権の割合や売却時の受取額へ読み替えないでください(会社法第108条・第308条)。

議決権の試算が必要なら、対象とする決議や株式の権利内容を確認し、株数比率とは別に計算します。定款や株主間の契約による権利もあるため、ある比率を超えれば何でも単独で決められる、と表の作成担当が断定しないことが大切です。

渡すのは比率表だけでなく、前提と照合結果

試算の成果物には、基準日と元資料、株主別・種類別の株数、各案の増減、計算式、未確定の条件を添えます。表示上の丸めで合計が100%にならない場合は、丸め前の計算を確認し、その旨を注記します。比率を直接手入力して合計だけ合わせる方法は避けます。

AIseedsでは、資本政策・増資の実務として、株主情報の照合と、会社が検討する条件に基づく株主構成の試算を担当します。調達方針・出資条件はお客様が判断し、権利や法的な適否は専門家へ確認します。現在の株数が資料ごとに違う場合は、その整理から相談してください。

出典・参考情報

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